訪千葉大學庭園 秋葉 暁子 小春日暖入疎垣 小春 日は暖かにして疎垣に入る 庭苑摩天楠樹繁 庭苑天を摩して楠樹繁る 綠葉放香添爽氣 緑葉香りを放ちて爽気を添ふるも 學生不到雀聲喧 学生は到らず 雀声喧(かまびす)し |
![]() |
戸定邸庭園 薄井 隆 綠樹影深禽語稠 緑樹影深くして禽語稠し 紅楓微動一風柔 紅楓微かに動きて一風柔らかなり 南亭小憩自舒暢 南亭に小しく憩へば 自ら舒暢(じょちょう) 雲去靑天富嶽悠 雲去りて青天 富岳悠なり |
![]() |
戸定邸想昭武侯 加藤 武 歐州奉使久長征 欧州 使ひを奉じて久しく長征 盛與列強交又盟 盛んに列強と交はりて又た盟す 時變維新明治世 時 変じて 維新明治の世 密堪寂寞愛庭櫻 密かに寂寞に堪へて 庭桜を愛す |
![]() |
憶戸定邸 津田 峻嶺 邸第寛閑塵世隔 邸第 寛閑にして塵世を隔て 園庭幽雅晩涼催 園庭 幽雅にして晩涼を催す 主君遠距維新闘 主君は遠く維新の闘ひに距(へだ)てらる 誰謂茲遺文化財 誰か謂(おも)はん 茲に文化財を遺すを |
![]() |
戸定邸想昭武侯 長島 ツタエ 江川富嶽向西臨 江川富岳 西に向かひて臨む 銀杏紅楓樹影深 銀杏紅楓 樹影深し 坐想武侯閑適日 坐(そぞろ)に想ふ 武侯 閑適の日 榮枯如夢客愁侵 栄枯夢の如く 客愁侵すを |
![]() |
尋德川昭武戸定邸 森崎 荘石 小丘舊邸錦楓中 小丘の旧邸 錦楓の中 西看富峰浮碧穹 西のかた富峰を看れば碧穹に浮かぶ 覇業欲成歸一夢 覇業 成らんと欲して一夢に帰す 獨憐往事立秋風 独り往事を憐れみ 秋風に立つ |
![]() |
訪松戸戸定邸 芳野 禎文 秋天氣爽邸前盈 秋天気爽やかにして邸前に盈つ 相競紅黄一院淸 相ひ競ふ紅黄 一院清し 初識古人行外國 初めて識る 古人外国に行きしを 將家滅後異才明 将家滅せし後 異才明らかなり |
![]() |
松戸神社 宮﨑 三郎 二神鎮座廟森森 二神鎮座し 廟森々たり 護衆久長功德深 衆を護りて久長 功徳深し 母子賽來倶拍手 母子 賽し来りて倶に手を拍てば 公孫樹葉忽鋪金 公孫樹葉 忽ち金を鋪く |
![]() |